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クワイエットルームにようこそ [映画も演劇も好き]

ワタシの敬愛する松尾スズキ氏原作・監督・脚本の
『クワイエットルームにようこそ』を観て来ました。
内田有紀主演です。

ただ、万人受けする作品ではないです。
自分に自信があって、自分大好きな極めて健康な人には
向いてない映画だと思います。
そういう人はこの映画が嫌いかもしれません。
以下少しネタバレあり。

事前に本は読んでません。
どちらかというと、松尾スズキの世界観はカレ自身が視覚化したほうが、
より魅力的だと思っているからです。
松尾スズキの描く世界は、
一見すると明るくちょっと笑ってしまうような滑稽さが魅力ですが、
その裏に人間の中にある
黒くドロドロとした内面をあぶりだすグロさが隠されてます。
実際観て、やはり本は読まなくて正解だったと思います。

冒頭が少しとっつきにくいですが、いつのまにか松尾ワールドにひきこまれます。
クスっと笑える小ネタも入れながら、内容は実にヘビー。
内容はオブラートでくるんであるようで、胸に鋭く突き刺さる感じです。
全編通して、松尾スズキの世界観らしい毒のある作りでした。

簡単にまとめてしまえば、精神病棟に入院するはめになった主人公が、
病棟の人たちと関わる中で、自分の過去と向き合う話。
こう表現するとなんてことない話に見えますが、
話の過程では主人公の過去を多用しながらも、
丁寧に作っていて、飽きさせません。

自分と向き合わずにはいられない部屋。
心の中のドロドロを意識せざる得ない部屋。
孤独を感じざるを得ない部屋。
クワイエットルームのの無機質で異様な際立つ蛍光灯の明るさ白さが、
そこが特別な空間であることを示しています。

患者たちは、明るく楽しく暮らしてそうな個性豊かな面々ですが、
妙な明るさが裏で底知れぬ暗闇を暗に示してるように見えます。

「生きるって重い事よ」
病棟で患者の心に土足で踏み込む西野(大竹しのぶ)が
一番必要な大切なことを言い放ちます。
このあたりの大竹しのぶはスゴイの一言です。
存在感がありすぎです。

世の中ではポジティブに考えよう!とキレイゴトを並べてますが、
程度の重さ軽さはあれ、どうしてもそういう考え方ができなくて
ネガティブなスパイラルから抜け出せない人も多いと思います。

人によって捉え方は様々でしょうが、シュールな娯楽としても、
自分自身に置き換えても、家族・友人の視点でも、興味深く鑑賞できる作品でした。
人間って弱くて寂しくて悲しくて、愛しい。。。

備考
気になった点は、ウィノナ・ライダーとアンジェリーナ・ジョリーの
『17歳のカルテ』という映画に少し似てます。
題材が同じようなものなので、どうしても似てしまう部分あると思います。
料理の仕方が全く違うので別物ではあります。


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